存在論日記2008年1月/ ミトコンドリア天皇家

ミトコンドリア天皇家

「皇位は、皇統に属する男系の男子が、 これを継承する」という皇室典範第一条の規定は、 性別の非対称性を含んでいる。

日本国憲法第一条は、 天皇は「日本国の象徴」であると定めている。 したがって、「日本国の象徴」という地位は、 性別の非対称性の上に成立していることになる。 これは容認しがたいことである。 しかし、 男系による皇位の継承は天皇家の伝統であるという 男系尊重論者たちの主張も傾聴に値するものである。 伝統を維持しつつ性別の対称性を実現するということは 不可能だろうか。

この問題の解決は、それほど困難なものではない。 たとえば、「男女二名天皇制」と私が呼んでいる制度は、 この問題を解決する可能性を持っている。 男女二名天皇制というのは、常に二名の天皇を立て、一名を男性、 一名を女性とする、という制度のことである。

ただし、 男性の皇位も女性の皇位も 同一の天皇家が継承するという制度では、 伝統の維持と性別の対称性を両立させることはできない。 なぜなら、維持しなければならない天皇家の伝統というのは、 男系の男子によって Y染色体を後代に伝えるというものだからである。 したがって、伝統の維持と性別の対称性を両立させるためには、 男女二名天皇制は次のような制度でなければならない。

男女二名天皇制においては、 男性の皇位は従来から存在する天皇家によって継承される。 それに対して、女性の皇位は、 従来から存在する天皇家とは別に 新しく創設された天皇家によって継承される。 区別のため、従来から存在する天皇家を「Y染色体天皇家」と呼び、 新しく創設された天皇家を 「ミトコンドリア天皇家」と呼ぶことにする。

その名称が示すとおり、 Y染色体天皇家は現行の皇室典範(「Y染色体皇室典範」と 改称することが望ましい)に基づいて皇位を継承する。 それに対して、ミトコンドリア天皇家は、 現行のものとは異なる ミトコンドリア皇室典範に基づいて皇位を継承する。 ミトコンドリア皇室典範は、「男系」を「女系」、 「男子」を「女子」、「親王」を「内親王」というように、 Y染色体皇室典範の単語を置き換えたものである。 たとえばその第一条は、「皇位は、皇統に属する女系の女子が、 これを継承する」というものとなる。

存在論日記2008年1月/ ミトコンドリア天皇家
Last modified: Thursday, 10 January 2008
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