存在論日記2008年8月/ 笠間稲荷神社

笠間稲荷神社

茨城県笠間市笠間1番地に鎮座する 笠間稲荷神社*1を訪問した。

笠間稲荷神社の祭神は 「宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)」と呼ばれており、 したがってこの神社は神道系の稲荷神社である。

笠間稲荷神社が鎮座しているのは、かなり平坦な土地であり、 この点については豊川稲荷と同様である。 しかし、豊川稲荷には「奥の院」と呼ばれる社殿があって、 その周囲が「霊場」として意識されているのに対して、 笠間稲荷神社には「奥の院」と呼ばれる社殿は存在しない。

本殿は、安政・万延年間に造営されたもので、 国の重要文化財に指定されている。 壁面には「蘭亭曲水の図」という美しい彫刻がある。 また、本殿のみならず手水舎の彫刻もすばらしい。

笠間稲荷神社の特色は、 他の稲荷神社に比べて 「稲荷神社らしさ」が希薄であるという点にある。 狛犬ではなく狐の像が置かれているという点が、 ほとんど唯一の「稲荷神社らしさ」と言っていいだろう。 それ以外に、 稲荷神社ではない神社との相違点を示すものは見受けられない。 通常の稲荷神社の場合、 奉納された朱塗りの鳥居が立ち並んでいる光景が見られるが、 笠間稲荷神社では、そのような光景は見られない。 朱塗りの鳥居が一つだけ存在するが、両部鳥居なので、 「稲荷神社らしさ」の演出に役立っているとは言い難い。 この神社の崇敬者たちの間には、 朱塗りの鳥居を奉納するという習俗がないと思われる。 では、崇敬者たちはいったい何を奉納しているのだろうか。

一つは、豊川稲荷と同様、狐の像である。 本殿の裏側には一つの小さな塚があり、 その周囲には多数の狐の像が置かれている。 しかし、それらの狐は、 「無数の」と言えるほど数が多いわけではなく、また、 比較的新しいものが多い。

おそらく、 この神社への奉納品のうちで最も重要な位置を占めているのは、 絵馬*2であると思われる。 絵馬殿や東門には、絵馬がびっしりと掲げられている。 奉納した人々の名前が列挙されているものが多数を占めているが、 そのほかに、社号が記されているものや、 絵が描かれているものなどもある。 額縁に精緻な彫刻があるものも多く、 美術品と呼び得るものばかりである。

笠間稲荷神社が鎮座している笠間という土地は、 中心産業の一つが窯業であり、 したがってそこは芸術性の高い土地柄であると言える。 そのような土地柄と、 美術的価値のある絵馬が無数に奉納されているということとは、 けっして無関係ではないと思われる。

*1 http://www.kasama.or.jp/
*2 私がここで「絵馬」と呼んでいるのは、 マジックで願い事を書く五角形の板のことではなく、 額縁を持つ長方形の額のことである。

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Last modified: Monday, 25 August 2008
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