存在論日記2009年/ 宗教工学の三原則

宗教工学の三原則

皆さんは、 「宗教工学の三原則」(Three Laws of Religious Engineering) というものをご存知ですか。 21世紀の初頭に大黒学という宗教エンジニアが提唱した、 宗教が遵守すべき原則です。 私の手元にある 『宗教工学ハンドブック』第56版にも掲載されていますので、 そこから引用してみましょう。

第一条:宗教は、現世における人間の幸福を阻害してはならない。
第二条:宗教は、 共同体の利益を個人の利益よりも優先させてはならない。
第三条:宗教は、他の宗教を敵視してはならない。

現代人の大多数はおそらく、この三原則を読んで、 「そもそも宗教というのは人工物なのだから、 ここで述べられていることは当然すぎるほど当然のことだ。 どうしてわざわざこんな原則を提唱する必要があったのだろう」 という疑問を感じることでしょう。 しかし、この三原則が提唱された21世紀の初頭では、まだ、 宗教が人工物だという認識は、 きわめて少数の人間たちだけのものでした。 多くの人々は、 宗教というものは大いなる存在者(たとえば神や仏)が 人間に与えたものだと考えていたのです。

ですから、その当時はまだ、 三原則に抵触する教えを含んでいる宗教というのは、 枚挙に暇がないほどでした。 三原則は、そのような時代に提唱され、 既存の宗教を改良しようとする潮流を生み出し、そして、 その結果として現在の状況が到来したのです。 役目を終えた三原則は人々から忘れられ、現在は、 『宗教工学ハンドブック』の中でひっそりと眠りに就いています。 自分が必要とされる日が二度と来ないことを願いつつ。

存在論日記2009年/ 宗教工学の三原則
Last modified: Wednesday, 17 June 2009
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